緊張に揺れた週末

いよいよ、「桜満開」の声が聞こえてきそうですね。

さて、一昨日の舞台で、ご一緒した皆様、そしていらしてくださった皆様、
本当にありがとうございました。
久しぶりに、言葉にまとまらないような嬉しい気持を、たくさん味わいました。
なので、今回演奏した、勝負曲『道灌』と『西行桜』について、つづってみようと思います。

宮城道雄作曲の『道灌』。実はこの曲、十年前にも演奏したことがありました。
大学院の二年だった秋の学園祭で、たくさんの後輩をバックに、
独奏パートを演奏しました。
この時は、自分自身が緊張のあまり、本当に舞い上がってしまって、
曲のテンポも、抑えが効かないぐらいに速くなってしまった。
そして本当は15分ぐらいの曲なのに、もう、五分ぐらいで終わってしまったような…。
体の軸が、最後まで定まらないままに終わってしまったような…、そんな記憶ばかりが残りました。
終わってから全員の前で、涙涙だったのは、良き思い出ですね。

でも、とにかく、ふがいない記憶のほうが強かったので、「いつかリベンジ
したい」と言う思いは、実はずっと持っていて…。
そんな中にいただいた今回のご縁。教師披露のために
師匠が授けて下さった機会、本当に嬉しかったです。

いざ本番が近づいてみると、やはり本当に緊張し、舞い上がりそうになりました。
けれど、前の記憶が助けてくれたのでしょう。ふらついている自分を、自分自身で、
しっかりと下に下ろし続けながら、何とか無事に弾き終えることができました。
両側から聞こえてくる和音のシャワー、声のシャワーに、何度も何度も助けられながら、無事に終えることができました。
当然悔しい思いはありますが、何より同じ曲に、二度のご縁をいただけたことが、
本当に嬉しくて、今は幸せな気持ちでいっぱいです。

そして最後に演奏した、古曲『西行桜』。
道灌で、自分自身が使っていたパワーの両は、予想以上にすごいものでした。
完全に何かが抜け落ちてしまっているような感覚の自分に、もう一度
どれだけ気を入れなおせるか。その時の自分には、一番の問題でした。
なので、ただただ心静かに、舞台裏で過ごしていたような気がします。

演奏している自分にとっては左側の日吉さん。彼に、気を伝える気持ちで弾く。
同時に、右側の南海さんの箏と、一対一の合奏をしているような気持ちで弾く。
この二つの、いわば「同時進行役」を、しっかりと行うことが、
真ん中のポディ所んで古曲を演奏する時に、一番大切になりますが、
さらにこの曲では、舞台中に溢れていた、善養寺先生の尺八の「音の波」にも、
乗っかるような気持ちで演奏しました。
無事に終わって、今更書くことでもないのですが、
本当に快感で、楽しめもでき、またさらに、古曲を好きになれました。

出番が終わってからも、終始舞台裏で動いていたこともあり、今回は、いちども
ロビーに出ることなく失礼をしていました。本当は、お忙しい中駆けつけて
くださった皆様お一人お一人に、お礼を申し上げたかったのですが、
それを叶えることができなかった失礼をどうかお許しください。

さて、これからの時期は、編曲、そして作曲をしつつ、また精進の日々です。
「忘れない心」で、また歩んでいきたいと思います。

改めまして、4月2日のひとときに、お時間を注いでくださった全ての皆様に、
心から感謝を申し上げます。本当に本当にありがとうございました。