蒟蒻って、こうやって作るんですね。

旅に溢れた師走の前半でした。

先週は、島根県は奥石見、邑南町に滞在していました。
広島駅から浜田に向かう高速バスで走ること90分。小雪ちらつく
インターチェンジで出迎えていただき、そこからさらに車で40分少々。
そこは、川の音が響くところ。都山流尺八の秦瓢山先生の生家です。

瑞穂町、石見町、蓮見村の合併によって誕生した邑南町には、現在中学校が
三つあるのですが、先生は、十数年前から、そこで毎年、「地元への恩返し」
の意味を込めて、邦楽の観賞と尺八体験授業を行っておられ、
私も今回、三度目のご縁をいただき、旅路を共にしていたのです。

夜、テレビを切ると、本当に外の川の音だけが聴こえ、会話の声も自然と静かになり、
朝、つめたーい服に袖を通したら、美味しいお味噌汁が、体を温めてくれる、そんな毎日でした。

三つの学校の生徒さんたちは、観賞授業にも、体験授業にも、楽しんで取り組んでくれていたようでした。
中でも、「毎年体験してる」という生徒さんたちは、自分でメロディーを探し出したり…。

「あ、これ(ホワイトベリー?の『花火?』)吹けるよ俺」
♪レーファーソーファソ らー…
「あれ?♪ドーが出ん(笑)」

楽しんでくれている様子が、私達には、何よりも嬉しいのです。

さて、そんな中で、私も今年は、大きな体験をさせて頂きました。

  蒟蒻(こんにゃく)作りです。

まず、蒟蒻芋の形って、どんなものだか、ご存知の方は、どれくらいいらっしゃるのでしょうか。
丸とも四角ともつかない、何ともいびつなかたち。
直径は15センチ前後、その上に、葉っぱがもしゃもしゃしていました。
まずは、そのもしゃもしゃをはずし、芋の本体を1センチの厚さに輪切りします。
それを、柔らかくすべく、鍋で茹でます。茹で上がり、水を通したら、
今度は、芋についてる皮をはずしていきます。手が、どんどん粘っこくなります。

次は、後でミキサーにかけやすくすべく、1センチ角ぐらいに、とにかく小さくきります。
芋の本体の重さは800。そこに対する「ぬるま湯」の量は1400。
それをミキサーにかけて、どろどろにしていきます。
それから、ぬるま湯200に、炭酸ソーダの粉8グラムを溶かして。それを、どろどろの中に混ぜました。

さあ、ここからは、大きな容器に入れられたどろどろを、ひたすらに手で、こねて、こねて、こね続けます。
手が動きにくくなり、「ん?」と思って、塊をたたくと…。
「プルルン!」
やっとやっと、蒟蒻の誕生の瞬間なのです。
いやー、小学生に帰った気分で、嬉しかったですねぇ。

その喜びを、私は、帰りに経由した広島で、小学校卒業以来23年ぶりに
再会した先生にもお話しましたし、
今も、その蒟蒻を食べつつ、また思い出しているところなのです。

あ、忘れていました、こねた後のこと。
とにかく大きな塊なので、適当な大きさと形に切り分けたら、
二回ほど、茹でるようです。最初は、(ちょっと苦手に感じる方もいるであろう)
独特な香りと風味がしますが、何度か茹でたり味付けするうちに消えていきます。

ちょっと堅め、でも自分が作ったから美味しい!
残り少なくなった蒟蒻が、今日も酒の肴に、なっています。

秦先生、そして邑南町でお世話になった皆様、
本当にありがとうございました!!!