CD制作プロジェクトのページに掲載した澤村祐司の記事転載

皆様こんにちは。
連日クラウドファンディングの話題でにぎわせております…。

それもそのはず。4月16日でこのプロジェクトが、終了してしまうのです。

それと同時にこのページも、おそらく閉鎖してしまう?と思いまして、
先日、メンバーのマッコさんががんばって文字に起こしてくれたインタビュー記事を、
こちらにも転載させてもらうことにしました。

私の思いを見事に書き表わしてくれている素晴らしい記事なので、
もしまだの方がいらっしゃいましたら、ぜひお読みいただきたいと思います!

☆ーーーーーーーーーー 転載ここから ーーーーーーーーーー☆
VOICE SPACE CD制作プロジェクト 【活動報告その6】
リレー・エッセイ② 澤村祐司(箏・三味線・声)

メンバーによるエッセイ第2弾でフィーチャーするのは、VOICE SPACE代表をつとめる筝曲家、澤村祐司です。
今回の記事は趣向を変えて、インタビュー形式にしてみました。聞き手は早坂牧子。
モノマネが上手で冗談好き、いつも私たちを笑わせてくれる楽しい澤村くん、VOICE SPACEの活動にどのような思いで取り組んでいるのか、改めて聞きました。

早坂 澤村くん、今日は改めていろいろお話を伺ってみたいと思うのですが、まず、普段はどんな演奏活動をしているのか、ご紹介ください。

澤村 僕は、日本の伝統の音楽、箏・三味線の演奏と作曲をしています。主に200~300年前に作られた古典曲を演奏しています。例えば、「君がため 春の野にいでて 若菜摘む わが衣手に 雪は降りつつ」を歌うのに4分30秒かかるような、そういう古典曲を弾いています。あと、「春の海」で有名な宮城道雄の作品の演奏にも取り組んでいます。それから、作曲では主に、箏と何か他の楽器を扱う曲を書いています。

早坂 古典が活動の軸にあるということですよね。現代の作品を演奏する機会は?

澤村 たまにはあります。でも、現代のものでは、箏同士、箏・三味線・尺八など邦楽器同士の大合奏の一員に加わるという形が多いですね。なかなか一対一でやるというのは・・・もちろんそういう曲もあるんですけれど、僕が参加することは、あまりないです。

早坂 そうなると、VOICE SPACEの形態は、筝曲家澤村祐司にとっては殆ど不自然というか・・・

澤村 不自然と言ってもいいくらい、真逆なんですね。

早坂 それが、どういう経緯でVOICE SPACEと関わることになったのか?

澤村 最初、佐々木幹郎氏の「詩のリズム」という授業が(東京藝術大学で)あって、そもそも自分も古典曲の歌をやっているから、もしかしたら何か関連性があるかもしれない、と思って、詩にふれるということから始めました。授業に参加している頃は、こういうことまでやりたいとは全然思っていなかった。でも、授業以外で集まる時間というのが、何だか楽しそうだったから参加してみたというのが、最初の出だし。

早坂 まさかそれが、10年以上VOICE SPACEとして活動することになるとは、びっくりですね。

澤村 続けてやっているというのは・・・VOICE SPACEの創作って、根本的に、「音楽と詩を出会わせる」場。いわゆる「作詞作曲」ということではない、新しいことですよね。「リビング」とかやっぱり、一緒にやっていて楽しいよね。わくわくする。で、なぜわくわくするかっていうと、今まで体感したことのない、つまり聴いたことのないような世界がそこにあるから。簡単に言うと、快感だから、楽しいから―やっぱり楽しくなきゃ続かない。

早坂 他で経験したことのない世界を、私たちひとりひとりがVOICE SPACEのハイブリッドな音楽に感じているから続いてきたというのが、大きいよね。

澤村 普段の自分のやっていることとは、真逆ではあるんだけれども、それを尊ぶことによって、古典の言葉をうたうときにも、その言葉のひとつひとつに対して、真摯になる。コラボレーションには、そういう面もありますね。

早坂 これまで、VOICE SPACEで様々な作品を演奏してきたけれど、澤村くんにとって特に印象的なものはありますか?

澤村 うーんこりゃもうありすぎて・・・(笑)。自分はそもそも合唱も好きだったから、歌えるのも嬉しいし、もちろん朗読できるのも嬉しいし、楽器も弾けるし、本当に、何でもやりたいこと、やりたかったことができる。あえてひとつ挙げれば、やっぱり中也をやらせていただいたのは本当に嬉しかったな。厳しい演技指導もいっぱい受けて(笑)。言葉ひとつひとつに対して、「(佐々木幹郎さんの声を真似て)そこ読み方下げるナー!」と、幹郎監督の指導があって。今でも、自分が朗読や作曲をする機会に役立っていますね。

▲中原中也に扮する澤村祐司。朗読劇「子守唄よ―中原中也をめぐる声と音楽のファンタジー」(2007年10月21日サントリーホール小ホール)での一コマ。

早坂 本当に貴重な舞台の経験でしたね。箏奏者が中原中也を演じたというのはそれまでなかったし、さすがにこれからもないでしょうね(笑)。さて、今回のCD録音について。澤村くんのブログ記事に、9年前よりもずっと楽しめた、と書いてあるけれど、それはどうしてでしょう?

澤村 そもそも、僕は録音というものに参加したことが殆どないんです。VOICE SPACEの1枚目、2枚目、3枚目のCD録音を経験したのみなんですね。1回目はもう、訳が分からず録った。2回目は、録音の怖さが分かってただ怖かった(笑)。3回目の今回は、前回の録音からほぼ10年、久々で怖いんだけど、録音に対する向き合い方が、ちょっと分かった。なおかつ、ヘッドフォンをはめている耳に聞こえてくる他の楽器の音や声が、何だかものすごく生き生きしていたんですね。それを聴いていて、こちらも対等でありたいというか、何か、負けちゃいけない、負けたくない、負けてたまるか、そういう気持ちで取り組んだ気がします。

この10年、世の中でも私生活でも、みんなそれぞれいろいろあって、僕たちどうしよう?みたいな時期もあったでしょう。いろいろ考えたし、山もあり谷もあり、そういう中で、この音が出てくるというのは、ある種の感動を覚えるというか、僕たちうまくなったよねっていう(笑)。嘘じゃなく、本当にそう思えた。あれは本当に、感動の瞬間でしたね。

早坂 その感動の瞬間を、ぜひ多くの皆さんに聴いていただきたいですね。

澤村 本っ当にそう!みんなが仲間同士、あるいは社会の人たちと関わり合いながら、時には悔しい思いもしながら、一回り、二回り、大きくなれた。そのことが感じられる、いい一枚になっていると思います。

早坂 その点で、初めてVOICE SPACEをお聴きいただく方々はもちろん、昔から私たちを聴いて下さっている皆さんにも、大いに楽しんでいただけるCDになっていますよね。では最後に、澤村くん個人としての視点で、今回のCDの魅力をご紹介ください!

澤村 本来、箏奏者が持って行くのは絶対、化学繊維のテトロン糸のお箏なんです(※注・後記)。だけど今回、ちょうど近い本番のためにしめたばかりの絹糸のお箏があったので、大変だけど二つとも運んでもらって用意して、弾いたというのが、自分の中でひとつ力を入れた部分。絹糸はすぐ切れるので、非常にリスキーなんです。大事なところでバーンと切れて、ごめんなさい楽器換えます!なんて言うと、場の空気をシュンとさせちゃうかもしれない、とも思ったけれど、思い切って使いました。僕が箏を弾いた瞬間なんて、ほんの一瞬でしかないんです。たったそれだけのことなんだけど、絹糸で弾いたほんの一瞬を、分かる人には分かってもらえたら嬉しいな(笑)。音の表現と、心の表現というか。絹糸でやりたい!と思ってしまった、そのひとつの心の表現と、実際に音となって出てきた表現と。「北の海」「蠕虫舞手」「リビング」の中のほんの一瞬、それを聴く度に、ああやっぱりあの糸でよかったなと思います。10年後に棚から取り出して聴いたときにも、同じように思えるんじゃないかな。

早坂 そんな澤村くん渾身の演奏が、多くの人の「琴線」にふれますように!

澤村 やや、うまいっ!(笑)

(※注)箏に用いられる「糸」(絃)には、丈夫なテトロン製の糸と、柔らかい絹糸があります。澤村くん曰く、「絹糸はとにかく余韻がまろやか、しかし、音の立ち上がりはテトロンよりキラリとしていて、繊細な音の響きを、いろいろ使い分けられる」。澤村くんは絹糸の音が圧倒的に好きだそうです。絹糸の生む一瞬の響き、ぜひご注目ください!

【澤村祐司 Yuji Sawamura プロフィール】
東京都出身。生田流箏 三絃を、宮城社大師範 金津千重子に師事。 東京藝術大学音楽学部邦楽科 を経て、同大学院修士課程修了。伝統的な古典曲(地唄)などの演奏をはじめ、作曲や編曲にも取り組んでいる。
詩と音楽のコラボレーション集団“VOICE SPACE”代表。箏曲『宮城会』『重音会』『森の会』『よいろの会』『箏七星』所属。
「第2回 八橋検校日本音楽コンクール」において八橋検校賞受賞。「第19回 くまもと全国邦楽コンクール」において優秀賞受賞。
フランス・スイスで行われた日本舞踊公演「カミーユクローデル」(文化庁後援)に出演、西川千麗氏と共演。第92回 世界エスペラント大会「日本の夕」にて記念演奏、ソロ奏者をつとめる。平成19年度文化庁芸術祭参加作品、朗読劇「子守唄よ」に出演、中原中也役を演じる。
財団法人地域創造「平成22年度 邦楽地域活性化事業」に参加、 熊本県宇城市の小学校四校でアウトリーチを行う。
NHKラジオの福祉情報番組「聞いて聞かせて」に、 2011年新春スペシャルを初め、6回に渡り出演。
他、谷川俊太郎 佐々木幹郎(詩人)、二代目 高橋竹山、小室等、伊藤多喜雄、谷川賢作( アーティスト)、ホリ・ヒロシ(人形師)の各氏らと共演。
北京大学創立110周年記念式典「燕園之春」にて招待演奏、朗読と箏の二重奏による 自作「恋」を世界初演。
朗読ミュージカル「山崎陽子の世界」にて、 物語「葉桜の頃」の作曲を手掛け、女優 有馬稲子と共演。 物語「みそかの月」の作曲を手がけ、女優 小山明子と共演。
熊本県立松橋西支援学校の校歌 作曲。
奈良 東大寺で行われた奉納狂言「大仏くらべ」において、新作「こころね 東大寺より」(詩:大江隆子)を奉納。

☆ーーーーーーーーーー 転載ここまで ーーーーーーーーーー☆

皆様、最後までお読みいただきまして本当にありがとうございました。いかがでしたでしょうか…?
もしこの記事を通して、心を動かしてくださった方がいらっしゃいましたら、
ぜひ9月21日22日の VOICE SPACEの舞台を観にいらしてください!
古典の音楽に取り組んでいる時とは違う私をご覧いただけるはずです。

そこで役立つのがなんと、4月16日までの期間限定のこちらのページなのです!

公演当日のチケット割引を受けられますし、
それに加えて、今回録音したCDも、手にしていただけるのです!

いかがですか?魅力的だと思いませんか?

というわけで、1人でも多くの皆様に、こちらのページにお越しいただけますよう、よろしくお願いいたします。